カングラはインドでも古い歴史を持つお茶の産地のひとつ。ヒマラヤ山麗の西側に位置し、ネパールを挟んで反対側(東側)にあるダージリンと同じく霧の発生しやすい寒冷地域です。1905年に起きた大地震で茶園を経営する多くのイギリス人が撤退してしまったためごく少数の茶園しか残っておらず、現在は緑茶の生産がほとんどです。
紅茶は3月から4月にかけてのクオリティーシーズンにごくわずかのみ生産されますが、手揉みによって丁寧に仕上げらた、高品質でとても繊細な茶葉です。
同じような地形にあるため春摘みのダージリンに似た芳香を持ちますが、カングラはさらに柔らかく滑らかな口当たりで、根菜を想わせる甘みと独特の渋みがあります。
淡く美しい水色と青々としたフレッシュな香りを楽しんでいただくにはブラックがおすすめです。
カングラ ライプール茶園 2022 春摘み Hand Rolled Tea
KANGRA RAIPUR HAND ROLLED SPRING TEA
水色: ストローカラー(薄いわら色)
香り: フレッシュな野菜を起想するベジタルな香り
味わい: 根菜系の甘みにさわやかな渋みと旨味がマッチ
淹れ方(ティーカップ二杯分300ml)
茶葉の量 4g(茶葉が大きいため計量をお勧めします)
お湯の温度 熱湯(98℃)
抽出時間 3~4分
【サンジェ・カプール(Sanjay Kapur)氏の鑑定書】
カングラ Hand Rolled Spring Tea 2022 のテイスティングノート
ダージリンとシッキムは偉大なヒマラヤの東部地域からのお茶ですが、一方このカングラ茶はヒマラヤの西部地域で生産されています。その二地域間の距離は1835kmあり、大変離れています。
イギリスのプランター(植樹家)がインドに茶畑を設立したいと思ったとき、彼らはカングラ、ダージリン、アッサム、カチャーに実験的な基地をつくりました。その結果、カングラはダージリンやアッサムとは明らかに異なるフレーバーを生み出すことに成功しました。この寒冷地域であるカングラは、ダウラダールと呼ばれる有名な山脈に接しています。この氷で覆われた山々はカングラからはわずか5kmしか離れていないようで、ダージリンからみえるヒマラヤ山脈よりもずっと近くにみえます。聖人ダライラマはこの手付かずの美しい天国のような所に住んでいます。彼の本拠地はまさにここ、神の国にあります。
このお茶の並外れたアーシーな香りは自然の賜物です。まるで暑い夏の地面に突然雨が降った時に湧き上がる心地よい香りのようです。一生に少なくとも一度は経験していただきたい味です。口に含んだときのこのお茶のボディは決して軽くはなく、ミディアムです。ダージリンは淹れるとフローラルとフルーツの香りを生みますが、カングラは非常に滑らかではありながら、しっかりとしたアーシー感(土っぽさ)であなたを驚かせます。ワイン愛好家にはサンジョヴェーゼ(赤)で土っぽい味わいを感じとる人もいますが、その土っぽさという感じともちがうのです。
このお茶は冬が終わってすぐ4月に摘み取られたものですから、ほんの数百キロしか生産されていません。風味を保ち、タンニンを柔らかく保つために、芽はやさしく摘み取られ、手でやさしく揉まれて、あまり多くの風味細胞を壊さないよう作られています。この風味を生む細胞の破裂が多ければ多いほど、お茶を淹れた際えぐみが出てしまうからです。
サンジェ・カプール
最高位紅茶鑑定士(Aap Ki Pasand社)
原材料 | 紅茶 |
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内容量 | 30g |
保存方法 | 直射日光、高温多湿を避けて保存してください |
原産国 | インド |